東京都の産業保健サービス株式会社です。
当社では、企業のメンタルヘルスについて専門的な立場からサポートを行っております。
産業医の契約やストレスチェックでお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
今回は、前回の「セルフケア」に続き「ラインケア」についてお伝えします。
職場リーダーなどの管理監督職が、職場環境等の改善や部下に対して個別の指導・相談を行うことを「ラインによるケア」といいます。
働く人が自分自身でセルフケアを行っても、職場には個人の力では取り除けないストレス要因が存在しているので、どんなに個人がストレスと上手に付き合う方法を身につけても、効果が上がらないことが往々にしてあります。
職場のストレスには、職場環境が大きく関わっているのです。
また、会社は『安全配慮義務』といって、法律により従業員の生命・身体等の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成しなければならないとされています。
そこで、日常的に部下と接し、部下のことをよく知っている立場の職場リーダーが、ラインケアとして実施すべきことは大きく分けて2つあります。
1つ目は働きやすい職場環境づくり、2つ目は「いつもと様子が違う」部下への気づきと対応です。
部下が置かれている職場環境や勤務形態、職場の組織が適切に機能しているか、実情を正確に把握、評価し、必要に応じた見直しを図ることが求められます。
部下の勤務状況を常日頃から把握するのはもちろん、本人から随時、仕事に関する課題を聞き取るなどして職場のストレス要因を把握しておきます。
部下一人ひとりに対し、過度な長時間労働や過重な疲労、心理的負荷・責任などが生じないように、個々の能力や適性、職務内容に合わせた配慮を行うことが求められます。
ストレス要因となるものには、作業環境や作業方法の改善も含まれます。まずは職場リーダーの権限の範囲内でこれらを見直しますが、権限の範囲を超える場合には、上司などの権限のある方や関連部門に対して必要な報告や提案をします。
こういったことがなくても、上司と部下の関係、つまりラインという指揮命令系統そのものが強いストレスの要因になりがちですので、職場リーダーはそのことを自覚した上で、部下との接し方に気を配る必要があります。
また、職場環境の改善にあたっては、部下の意見を踏まえるよう努めることや、 部下のプライバシーに配慮することも大切です。
メンタルヘルス不調の予防には、早めに普段と様子が違う部下に気づき、対応することが大切です。 普段と様子が違うとは、以下のようなことを指します。
厚生労働省「こころの耳」より抜粋
様子の変化にいち早く気づくためには、普段から部下に関心を持ち、行動様式や人間関係の持ち方について把握しておく必要があります。
そして、長時間労働が続き、疲労の蓄積が見受けられる部下や、強いプレッシャーやトラブルを抱えながら仕事をしている部下がいたら、職場リーダーから声をかけ、相談を受けるきっかけを作りましょう。
なお、こうした「いつもと違う」部下の変化の背景に、病気が隠れていることもあります。
その場合は、産業医と連携して、病気がないかを確認することが大切です。
また、中にはプライベートな問題など、仕事以外の悩みもあるかもしれません。
その場合はセルフケアの最後に記載した、公的な相談窓口の紹介も場合によっては有効かもしれません。
いずれにしても、普段と様子が違う部下に気づいたら、職場リーダーは見て見ぬふりをしたり、一人で抱え込んだりしないこと、 衛生管理者と連携することが大切です。
産業保健サービスでは、社員研修としてメンタルヘルス研修も承っております。
ラインケア研修の他、各種ハラスメント予防研修も行っております。
昨年11月、厚生労働省によりパワハラ法制化の方針も発表され、企業に防止策に取り組むことが義務づけられる方向です。想定される防止措置として社員研修も挙げられていますので、管理職に昇進した従業員に向け、マネジメント研修だけでなく、こういった研修が大変重要となってくるでしょう。
ベテラン講師による研修は大変好評で、人事異動のタイミングで毎年実施されるリピーター企業様も多くいらっしゃいます。
部下への接し方や部下を持ったら気をつけるべきこと、また、どういった言動がハラスメントにあたるのかを教育しておくことは、企業にとってリスクマネジメント対策の一環であるともいえますので、ぜひ、ご検討ください。