東京都港区にあります産業保健サービスです。
当社は産業医の契約やストレスチェックへの一括対応を承っております。
産業医やストレスチェックについてお困りの方は、ぜひご相談ください。
前回のブログでは、「復職願が出された際に人事担当者が確認すべき6つの項目」についてご紹介いたしました。
本日は「メンタルヘルス不調から社員が復帰した際に、どのように接するべきか」を掲載いたします。
メンタルヘルス不調から社員が復職してきた場合に「上司や同じ部署のメンバーはどのように接したら良いでしょうか」というお問い合わせをよくいただきます。
復職判定委員会など職場関係者(産業医・保健師・職場の上司・人事担当者等)による判定を経て、無事、復職した社員がいた場合、周囲はどのようにコミュニケーションをとったら良いのかわからず、腫れ物に触るように接してしまいがちです。その背景には、お互いにどう接するか様子を伺いあい、気を遣いあう状況があると言えるでしょう。
メンタルヘルス不調においては7〜8割の回復が一応の目途と考えられます。周りは「復職した=100%治った」と思いがちですが、「寛解(かんかい)」といって、「8割くらい治っている状態」なのであり、完治している訳ではありません。
通院して薬の服用を続けていれば、「完治に近い状態」でいられる状態なのです。
そのため、復帰後も遅刻・早退して通院する場合は、「まだ治ってなかったの?」と思うのではなく、リハビリ期間なのだと考え、通院の時間がとれるよう配慮してあげてください。
メンタルヘルスに理解のない上司によくあることとして、メンタルヘルス不調になった理由を本人の考え方や性格のせいにして、説教じみたことを言ったりすることがあります。しかし、メンタルヘルス不調になるのは本人の性格や考え方のせいではなく、「ストレスの受け止め方」にあるため、本人が悪いということではないのです。
励ましのつもりで言ったことも、休職あけの本人にとっては負担になり、それが再発につながることもあります。責められたり批判されていると本人が受け止めてしまうようなことは口にせず、「戻ってこられて良かった、これから少しずつ慣れていきましょう」といったような、休職あけ社員の緊張や不安・焦りを和らげるような言葉をかけることが大切です。
また、本人は、休んでしまったことに対して罪悪感があったり、「早く業務の感覚を取り戻さねば」「戦力にならなくては」と焦っていたりすることが多いものです。そのため、「できるかどうか」をきいた際に、無理して「できます」と答えてしまうこともあるため、仕事の与え方の加減には気を配る必要があります。
かといって、気を遣いすぎ、与えなさすぎても本人は手持ち無沙汰になりますので、産業医や産業保健スタッフの指示のもと、業務量を調整していくことが大切です。しばらくは残業禁止などの就業制限がつくことも、課員などのメンバーに伝えておきましょう。
それでは、メンタル不調から復職した社員さんの同僚は、どのように接したら良いでしょうか。
まず、避けたいこととして、休職中はどう過ごしていたのか、なぜ休職に至ってしまったのかなど、根掘り葉掘りきくことは慎みましょう。
反対に、心の病だったのだから、優しく接しなくては、と過剰に気を遣うこともありません。休職中に起こった会社の変化、例えばコピー機が新しくなった、社内システムのフローが変わったなど、復職あけ社員が知らないであろうことを教えてあげてください。
マニュアルを渡して終わり、ではなく、できれば一度本人の目の前でやってみせるなど、本人がスムーズに変化に対応できるようにしてあげると、環境の変化に対するストレスが軽減されます。
もしも、本当にどう接していいかわからないといった場合は、業務上のやりとりだけに留めておいても良いでしょう。
しかし、最も肝心なことは、何を言うか言わないか、どう接するか、ではなく、復職者が職場にいやすい環境づくり、つまり、特別視することで本人が居づらい環境にならないよう配慮することです。
メンタルヘルス不調によって、その人が感じている心身ともに辛かった気持ちや、大変な状況に思いをはせて、「大変だったろうし、これからもしばらく大変だろうな」と思いつつも、本人が気を遣われすぎて気づまりに感じないよう、身の丈にあったふるまいをして、自然体で接することが最も大切です。
いかがでしたでしょうか。
産業保健サービスでは、メンタル不調者の復職の手続きや復職後の対応等についてもご相談を承っております。
お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。専門担当者が親身に対応いたします。
また、メンタル不調を未然に防ぐための取り組みも重要です。
「ストレスチェック」の結果を活用し、職場環境の改善などにも継続的に取り組んでいきましょう。