東京都港区の産業保健サービス株式会社です。
産業医の契約やストレスチェックといった分野でのサポートを
専門として行っており、企業様のメンタル対策を手助けいたします。
産業医の契約等でお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
本日のブログでは、「産業カウンセラー」についてご紹介いたします。
カウンセラーというと「心理相談を受ける人」というイメージがあるかもしれませんが、
「産業カウンセラー」は少々立ち位置が異なります。
産業カウンセラー協会によると、産業カウンセラーとは「働く人と組織を支える専門家」であるとしています。
もう少し具体的に言いますと、メンタルヘルスの推進、キャリア・カウンセリングや人間関係開発などの専門的知識と技能、これらの根底にある「傾聴」を学び、働く人の上質な職業人生(QWL:Quality of Working Life)の実現を援助することを使命としています。
ちなみに、産業カウンセラーというのは職業名ではなく、資格名であることに注意が必要です。
カウンセラーというと心理相談を受ける人というイメージがありますが、そういったカウンセラーのイメージとは少し異なり、通常は企業内における従業員の支援がメインとなるため、企業における人事担当者など、心理カウンセラー職以外の方が業務のスキルアップとして受講するケースが多いのが特徴です。
産業カウンセラーは2001年まで公的資格でしたが、国の行政改革と規制緩和により、現在は一般社団法人日本産業カウンセラー協会が運営する協会認定資格となっています。
同協会が毎年実施している試験に合格することで、産業カウンセラーの資格を取得することができます。
以下のいずれかに該当している場合に受験できます。
A 産業カウンセラー協会が実施する講座を修了したもの
B大学院において心理学に関わる単位を一定以上収めたもの
(2016年度までは大学(学士)にて心理学に関わる単位を一定以上収めたものにも
受験資格がありましたが、改定されました)
Bに該当する方は多くないと思いますので、ここではAの講座について記載します。
Bの詳細はこちらを参照ください。
養成講座は主に通学制か通信制を選ぶ形でしたが、通学制・通信制ともに2018年度限りで終了し、
今後はe-Learning講座のみとなることになりました。学習内容・実習時間数は通学制・通信制と変わらず、理論学習の受講方法、受講料、受講期間が異なります。
得られる受験資格は同じです。
受講申し込みが1月〜定員が埋まるまで。
期間は4月〜10月末ごろまでの約7ヶ月間・受講料は248,400円(教材費・税込)
受講申し込みが8月〜定員が埋まるまで。
期間は11月〜翌年10月末までの約1年間・受講料は226,800円(教材費・税込)
≪半年コース≫
受講申し込みが2月〜定員が埋まるまで。期間は5月〜10月末ごろまでの約6ヶ月間
受講申し込みが8月〜定員が埋まるまで。期間は11月〜4月末ごろまでの約6ヶ月間
≪10ヶ月コース≫
受講申し込みが10月〜定員が埋まるまで。
期間は1月〜10月末ごろまでの約10ヶ月間・受講料はいずれも291,600円(教材費・税込)
上記の中で、通学制講座と通信制講座が一般教育訓練給付金の指定講座となっていますが、e-Learning講座は現在のところ指定講座の対象にはなっていません。通学制・通信制ともに全国の支部にて実施されていましたが、e-Learning講座の面接実習やライブ理論講座も、全国の支部で開講される予定とのことです。
選択式の筆記試験とロールプレイング+面接(ロールプレイングの振り返りと質疑応答)
の実技試験の両方に合格する必要があります。
実技試験は実習講座の成績によって、上位何割かは免除になる制度があります。
筆記試験は、筆者の周囲にいる7~8名の資格保持者にきいたところ、皆一様に「人生でこんなに勉強をしたことがないというほど勉強した」と言っており、覚える内容がかなりあるようです。
合格率は車の運転免許と同程度ですが、勉強は簡単ではないといったところでしょうか。
◎2016年度(2017年1月)産業カウンセラー試験合格率
◎2017年度(2018年1月)産業カウンセラー試験合格率
産業カウンセラーの試験に合格した人は、日本産業カウンセラー協会に入会することで、「資格登録会員」として活動することが可能になります。
会員の登録期間は5年間とし、以下のいずれかを満たし、毎年年会費と更新時に更新料を支払えば更新が可能です。
登録料: 7,000円
更新料: 3,000円
年会費:10,000円
産業カウンセラーとは、「働く人と組織を支える専門家」であると冒頭で述べました。
こうしてみると、精神科に入院している患者の治療補助や、学校施設で児童・生徒に対するメンタルヘルス対策などを行う臨床心理士などとは役割が異なるとおわかりいただけたでしょうか。
産業カウンセラーが、産業場面に特化した役割を担っていることが、他の心理学系資格との大きな違いと言えます。
産業カウンセラーを取得すると、産業カウンセラー協会が実施しているキャリアコンサルタント資格(国家資格)も取得しやすくなるため、キャリア関係の道へ進みたい方にとっては有用な資格だと言えるでしょう。
産業カウンセラー資格をメインとして働くには、EAPなどで求人が出されていることが多いですが、人事職募集の場合にも産業カウンセラー資格が求められることがあるようです。
また、日本産業カウンセラー協会でも、産業カウンセラー向けの求人を掲載しています。
心理学系の大学を出ていない方でも取得が可能な心理系の資格として注目される産業カウンセラー資格は、ビジネスにおいてどんな年代・職種・地位の方にも多様な使い道があります。
気になる点として、個人で取得をする場合に、取得コストと資格維持費がかかることが挙げられますが、取得の難易度は決して高くないので、将来のビジョンを持って計画を立ててください。
上位資格として、シニア産業カウンセラーもありますので、勉強を続けたい方は検討すると良いでしょう。