東京都港区にあります産業保健サービス株式会社は、産業医契約やストレスチェックのサポートをしております。
企業様とともに、従業員の皆様の健康管理のお手伝いをいたします。
本日は「会社が行うべき社員への健康サポート:従業員の健康診断について」です。
従業員が元気に働くことで、会社も活性化していきます。
そのため、会社で行う健康診断の目的は、職場における従業員の安全と健康を守ること。
また、健康診断を受けることで、自分の健康状態を知り、生活習慣病の予防や隠れた病気の早期発見に役立てることです。
今回は会社での健康診断について、具体的に何を受けなければいけないのか、費用や時間に対しての考え方をご紹介いたします。
会社には「労働安全衛生法」という、従業員に対して健康診断を受けさせなければならない義務があります。
従業員を健康な状態で働かせるという義務、つまり「安全配慮義務」があるからです。
健康診断を受けさせない場合、50万円以下の罰金が科される恐れがあります。
また、健康診断を受けさせなかったために重大な健康被害が生じた場合は「安全配慮義務違反」により損害賠償の責任を負う恐れもあります。
従業員が死亡するなど、結果が重大であると賠償額も高額です。
健康診断を受けさせる対象者は「常時使用する従業員」です。
パート・アルバイトであっても、以下のどちらの要件も満たしている場合は対象になります。
アルバイトやパートは対象外と思われがちですので、上記の要件を満たしている従業員がいれば受けさせましょう。
健康診断は大きく分けると以下の4つに分類でき、グレーの部分が、会社で行う必要がある健康診断になります。
この中で、会社で受ける健康診断には「一般健康診断」と「特殊健康診断」があります。
「一般健康診断」は名前の通り一般的に行われている健診が主となりますが、「特殊健康診断」は有害であると言われている業務に就く従業員に必要な健康診断です。
一般健康診断は業務形態などを問わない“個人診断”の意味合いが強く、特殊健康診断は化学物質のような有害な業務を取り扱う従業員の健康障害を未然に防ぐ目的があり、業務や作業環境による障害を受けていないかを確認する“職場診断”の意味合いが強い診断といえます。
また、上記では「一般健康診断」に分類していますが、業種や職種に関係なく受ける「雇入時健康診断」と1年以内に1回以上受ける「定期健康診断」は、「特殊健康診断」でも実施しなければなりません。
従業員を採用した際には、所定の項目について健康診断を行うことが会社に義務付けられています。
なお、本人が入社前3ヶ月以内に健康診断を受けていて、その結果を会社に提出したときは入社時健診を省略することができます。
ただし、本人が提出する健診結果がすべての健診項目をカバーしている場合に限ります。
足りない項目があるときは、その分について別途健康診断を実施する必要があります。
会社は、雇用している従業員に対して、1年以内に1回、定期的に所定の項目についての健康診断を行うことが義務付けられています。 (特定業務従事者健康診断および特殊健康診断の場合は6ヶ月以内に1回。特定業務従事者健康診断についての詳細は後述)
ここで、よくある問い合わせとして「入社時健診を受けさせたばかりなのですが、定期健康診断と兼ねていいのですか?」というものがあります。
これは、入社時健診の項目が一般定期健康診断の項目を満たしていれば、兼ねても構いません。
あとは「1年以内に1回」のサイクルの問題になります。
このとおり、健康診断に関する業務が煩雑になることを避けるのであれば、入社した年度の定期健康診断も他の従業員と同じタイミングで実施するのがスムーズです。
そうすれば翌年度以降も他の従業員と同じサイクルになり「1年以内に1回」をクリアできます。
また、似たようなご質問として、「9〜10月に一般定期健康診断を実施しているが、数名が12月に遅れて受診することになった。11月に中途入社した社員もそれに混ぜて一般定期健診を受診させてもいいか」というものがありました。
こういった場合に備えて「8/31(7/31や6/30など会社が決めた時点)時点在籍社員のみ、その年度の一般定期健診受診対象者とする」といったようにルールを決めておきましょう。このようにルールを決めておけば、11月入社の社員は「入社時健診を受診する(または直近3ヶ月以内の健診結果を提出)」というのが答えとなります。
深夜業などの特定の業務に従事する従業員に対しては、その業務へ配置の時とその後6ヶ月以内ごとに1回、定期的に所定の項目についての健康診断を行うことが義務付けられています。
ただし胸部エックス線検査については、1年以内に1回行えば良いとされています。
ここでよくある質問として「どこまでが深夜業健診の対象者なのか?」というのが挙げられます。
常時深夜業に従事する従業員が対象なのはもちろんですが、たまに22時を超えて残業する従業員がいた場合、深夜業の対象になるのでしょうか?というものです。
例えば、所定労働時間9:30〜18:30の従業員が22:10まで残業した回数が週1回以上、継続して6ヶ月あったとします。
特定業務従事者の日数の基準は6ヶ月を平均して月4回以上となっていますので、この場合は対象になります。
ただ、労働時間とは上司の指揮命令下に置かれている時間を言います。
残業の命令が22時までだった場合、22:10に終業の打刻をしていたとしても、この10分間は指揮命令をしていないとして、1回のカウントに含む必要はないとも考えられます。
このような曖昧なものはトラブルの元にもなり得ますので、下記のようなルールを設けることをおすすめします。
これらを徹底することでカウント回数を明確にすることができ、対象者であるかをしっかり把握できます。
従業員を6ヶ月以上海外に派遣するときには、派遣する前に所定の項目についての健康診断を行わなければなりません。
海外派遣者に対する健康診断では、定期健康診断の項目に加えて、次の項目のうち医師が必要と認める検査が必要となります。
6ヶ月以上の海外勤務をした従業員を帰国させ、国内の業務に従事させる場合にも、同様に健康診断が必要になります。
会社は、その事業場に附属する食堂・炊事場において、給食の業務に従事する従業員に対して入社時と配置換えの際に、検便を行う義務があります。
上記、各健康診断の検査項目とBの特定業務事業者の種類については以下を参照ください。
次は「時間と費用に関して」です。
健康診断を行う際には時間を必要としますし、健診の費用や実施する場所へ行くまでの交通費なども発生します。
会社ではこれをどう考えればよいのでしょうか。
都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達(労働安全衛生法および同法施行令の施行について/昭和47年9月18日、基発第602号)を一部抜粋すると、以下のように記載されています。
※ここでいう「費用」には移動の交通費も含まれると考えられています。
一般健康診断は、健康の確保・保持を目的としており、会社には健康診断の実施義務があります。
しかし、受診時間を業務時間内にするか業務時間外にするかは会社の労使間で相談のうえ、決定することになっています。
「受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい」というのは、会社に賃金を支払わなければならない法的な義務があるということではありません。
しかし、会社には健康診断の実施義務があるため、受診率を向上させるためには業務時間内に実施する、または時間外に受診させ、それに要した賃金を支給する方が義務を果たしやすいと考えられます。
また、従業員の健康の確保と保持は会社を正常に運営していくためにも必要なことですので、健康診断に要した時間には賃金を支払う方がスマートとも言えます。
実際のところ、筆者が知る限りでは業務時間内に行う会社の方が圧倒的に多いようです。
一般健康診断とは異なり、特殊健康診断は業務を遂行する上で必要な健康診断であるため、所定労働時間内に行うことが前提とされています。
そのため、業務時間外に行ったとしても賃金の支給は必要です。
所定労働時間外に実施するのであれば、割増賃金を支払いましょう。
従業員の健康状態を把握し管理することは、他ならぬ会社自身を守るためでもあります。
当社の産業医契約では、健康診断実施後の措置まですべてサポートいたします。
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